事例
「田中株式会社は、自社所有の土地の上に賃貸用のマンションを建てることにし、そのビルの建築を山本工務店に依頼した。マンションは完成したが、田中株式会社は請負代金を支払わない。山本工務店はどのような手段を取りうるのだろうか」

 田中株式会社は山本工務店に対してマンション建築の依頼を行い、山本工務店はその契約に従いマンションを完成しました。

これは、民法上の請負契約です。
「請負契約」とは、民法によりその定義が示されて(632条)おりますが、ポイントは「請負人は仕事を完成させること」「その仕事の完成に対して報酬を与えること」なのです。

請負契約によってせっかくマンションを完成させたのに、請負代金の支払いがないということですが、では本来請負代金はいつ支払われなければならないでしょうか?
田中側と山本側の交わした契約に拘束されることにはなるでしょう。例えば、完成した度合いに応じて報酬を支払う、完成した後に分割で支払う、などという契約が交わされた場合には、当然その支払い方法に双方とも拘束されます。

契約時に法令及び判例に示された通りの約定を交わしていた場合は、①仕事完成後、完成した建築物の引渡しと代金支払いは同時に行うことになります(これを法律用語で『同時履行』といいます)。
また、完成後・引き渡し前の建物は一体誰のものになるかというと、それはこの建物の材料を誰が提供したのか、ということにかかります。
本件のようなケースですと、通常注文した者が材料を用意することは考えにくいですが、たとえ材料を提供したのが注文者である田中側であったとしても、代金支払いが履行されるまで、このマンションは引き渡さなくていい(具体的にいえば鍵等を山本側が引き渡さなくていい)ということになるでしょう(引き渡しの要求に対して、代金を同時に支払え、と要求するのは法律上・判例上認められている権利です。これを『同時履行の抗弁権』といいます)。


では、問題です。
このマンションを引き渡さなかったとして、代金支払いがあるまでの間、このマンションを使用し、また賃借して賃料を得たりすることはできるのでしょうか?
これは、請負契約とは何か?ということを検証し直す必要があるでしょう。

・主な業務
許認可申請(建設業、産業廃棄物収集運搬業、風営法/スナック・ラウンジ開業、農業、倉庫業、警備業、古物商、道路使用)経営事項審査、入札資格審査、事業承継
・主な業務地域
和歌山県(和歌山市、岩出市、海南市、有田市、紀の川市、有田川町)
大阪府(泉南市、阪南市、泉南郡、泉佐野市)
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